冷蔵庫に野菜が結構余っていたことを思い出し、それを消費するためと、それとは別に衝動が生じたのでカレーを作ることにした。買い物に行く途中で同じアパートの住人のおばあさんに会ったので挨拶する。以前自分が急性胃炎を起こした時に迷惑をかけたことがあり、顔を見るたびに体の具合を聞いてくれる。しかし今日は当のおばあさんの方が明らかに顔色が悪い。貧血を起こして病院に行ってきたところとのことで、心配になるほどだったが、まあ旦那さんもいることだし、お大事にー、という意味のことを言って別れる。ふと、道端で近所の老人と体調のことを話すなんて、自分もずいぶん大人になったもんだと思う。以前腰をやったときに年長の仕事相手とひとしきりの腰トークで盛りあがって、「確かにいま心が繋がった」とすら思った。体調(健康)はコミュニケーションの成熟を逆説的に助ける。ふつふつと何らかのテンションが上がり、スーパーで食材を調達時、合計金額が予想をはるかに下回った。完成したカレーも良い出来で、生活者としてレベルがかなり高くなってきているのを認識する。

Twitterでおすすめされて購入。梨木香歩のエッセイの中で『ぐるりのこと。』題名について触れられている。