伊参スタジオ映画祭

実のところ、招待されて映画祭に行くのは二回目だったりする。初めては『シンク』の時の夕張。誇らしかったり楽しかったり少しの疎外感を味わったりするのは変わらないが、現地で知人にばったり会うということが格段に増えた。伊参が東京から近いということもあると思うけど、それだけではなく、こういうのが「長く続けている」ということだ思った。細々とですが。
今回は出演俳優陣こと元生徒ことキックメン9人+1人、それと制作takakoさんも一緒に参加したので、孤独どころか一人になれるタイミングを探さなければならなかったほどで(無かったけど)、ずっとテンションが持続。わざわざ姫路より遠征してきた女優N山のありえないテンション(「あたし、ビリーやってん。三日もやで。痩せたやろ?」)にも引き摺られ、楽しめまくった。あったかい映画祭だった。
『Kick My Sweet 13』は二日目の朝一のプログラム「伊参短編セレクション」の中、最後から二番目に上映された。予想より寒くはなかったけど朝早いので、正直お客さんの入りが不安ではあったのだけど、蓋を開けてみればほぼ満席。ほとんどが一般のお客さんで、後で聞くところによれば、伊参が好きで県外から参加している人もいるとのこと。反応も上々で、伊参大好きっ子さんたちの目に触れることができたのが光栄だった。終映後に5監督揃って舞台挨拶させて頂き、さらに無理を言わせてもらって、出演俳優陣にも挨拶させて頂いた。時間も押していたので全員は喋れなかったのが少し残念だけど、たくさんの拍手を頂いたし、後でサインを頼まれたりしたそうだ。これに気をよくして、映画に出ないと辛抱たまらないような役者になってほしい。
時間の関係で観られたのは同プログラムの作品と、シナリオ大賞短編の部グランプリ作品だけだったけど、中でも印象に残ったのは『放課後とキャンディ』という中村忍監督の作品。実は自分、この映画を過去に観ているのだけど、二回目でもやはり何かひっかかりを残す印象的なフィルムだった。主人公の中学生男子が痛々リアル、というか、なまっぽささえ感じさせる。普通の青春映画ではまず誰も焦点を当てないだろう、当てても美化してしまうだろうという自己表現のできない子たちが丁寧に描かれていた。そういう子も確かにいたということを再び思い出させてくれる。
夕方ちかく、後ろ髪ひかれつつも会場を辞した。映画祭スタッフの皆さんの、「好きでやってます」という感じ、すごい。なんという情熱。そういう気持ちに甘えたくなってしまう。実際甘えてしまったかも知れず、参加者としてあまりなっていなかった点もあったかも知れませんが、ある点では反省し、ある点ではもっといい気になって、今後も是非何らかの形でまた参加させてもらえるよう精進いたします。ありがとうございました。