ウェブシネマ、ネットムービー

インターネットで動画はあまり観ない。PVとかレア・なつかしのやつとか、知人が撮ってる短編ぐらい。10分の動画を観るならその間に100枚以上の画像を見られる個人的速度。動画が2分のものだと知ると躊躇して、ブックマークだけして結局観なかったりする。手が止まるから。動画共有サイトで流行るのが、「猫かわいい」とか「人が奇行をはたらく」とか、もうリュミエールかっていうくらいただその状況だけが映っているやつが多いというのも理解できる。音つきのスナップ写真。もちろん凝ったものもあるけど、労が報われない感じがすごいある。
短編をネット配信するというのはもう定番になってしまった。というか、短編はインターネットで配信してしまえばいいという風潮さえあるように思える。気になるのは、それがパソコンモニタと小さなスピーカー向けに撮られているのかということ。あるいは解像度が低くてフレーム数の少ないギクシャクした動画で伝わるかどうか考えられているのか。たぶんほとんどの監督たちは、普通のTVモニタか、もしかしてスクリーンで観るとちょうどいいように撮ってるはずで、つかそういうことを気にしない人などいてはならないはずで、ウェブシネマで本気出してるのか、それともウェブはあくまでサンプル扱いであって、気に入ったら映画館であるいはDVDでって感じなのかがよくわからない。実はネット公開に向いてる作品だってあるはずだが。
とはいえ個人的には、そんなに器用な方ではないので、せいぜいカットをあんまり短くしないとか、アップめの画角を使うとかくらいで、他はあまり区別できてない。どうしてもネット以外の展開が頭の隅にあるからだ。よくないことだとは思うけど。
しかし、ネットで流すことを前提とせず撮った作品が、スクリーンで観ないと面白さが減るということは確実にある。もちろんわざとそういうふうに撮っている。「よい作品はどのような環境で観てもよい」ということはないと信じる。チケット代やら版権の話をしているのではない。ネットで流し見されることによって、取るに足らない作品だと思われることが何よりもつらい。
願わくばそのような「スクリーン向け」の作品が、うっかりネットで流されなければいいのだが。