渋谷

今日のみの上映で、観たい作品二本の時間が重なってしまい、片方は宮益坂で片方は丸山町、苦渋の決断をしてシネマヴェーラ相米慎二監督『台風クラブ』を観に行った。スクリーンで観たことがなかった。ニュープリントとのことでキレイだったけど、先日下北沢でやったはずの相米特集とは違うフィルムなのだろうか。時間ギリギリに小走りで行かざるを得ず、携帯電話を忘れて出てしまった。全員の電話番号も時間もわからない、乗り換え時間もちょっとした漢字を調べたりもできない。どんだけ依存してんのか。
いまさら、なので長くは書かなくていいと思うけど、素晴らしい映画体験だった。明らかに演技とわかるのに全員が本当に鬱屈している。エネルギーを持て余したままその解消方法を知らない。たぶんリアルタイムで観てたらドン引きだったくらいなまなましい感触。三浦友和が自室で恋人を責める時、背後に、どこかでセックスしているような音が入っているのを初めて聴いたし、工藤夕貴が東京から帰ってきて土砂降りの路地で立ち尽くす時、画面奥で仕込みとも偶然とも知れぬ人影が見えるのを初めて知った。『もしも明日が』のシーンも鮮明に見えたし、やはりスクリーンで観るしかありえない作品。そういえばバービーボーイズ、使ってたんだよなー。
あまりによかったので二本立てのもう一本を観ずに帰ってきてしまった。もったいないがしばらく浸りたかったので。携帯を忘れて同居人と連絡がつかないのが心配だということもあったけど。つか携帯めんどくさい。