新宿城と呼ばれているホームレスのコミューンへ人捜しに行く。同行者はTwitterで知り合ったbさん。アイコンにそっくりの顔をしている。
四ツ谷あたりの坂を上った高台にあって、外見はゴールデン街の建造物が20棟くらい密集した感じなのだけど、中に入るとオーク材で統一されていて木の匂いがする。清潔に保たれていて、まるで地方にあるちょっとお金のかかった小学校の校舎のようで、無数の小部屋に通り名の表札が掲げられている。立派な施設だ。東京都やるじゃん。いや東京都?どこ出資?
ところで住人の姿はない。というのも、ロビーでなにか集会が行われていて、明らかにホームレスではない様子の若い人たちが熱心にビデオ上映を観ているのだった。これでは自室から出にくかろう。自分たちが捜している人の手がかりも実は何もなく、たぶん会った瞬間に気付くとか、不確かなままこの新宿まで来てしまったわけで、仕方ない、一室一室、しらみつぶしに当たらなければならないのだけど、向こう側に行くには彼らの真ん中を通過しないとならない。面倒くさいので視線で挨拶をして通過しようとすると、呼び止められた。演劇界の大御所N川氏だった。もちろん面識はないはずだがやけに親しげ。ということは若い人たちは俳優だろうか。誰かと間違われているのだろうが、同行者のbさんがきょとんとしているので、何となくN川氏に調子を合わせて、ええ、いまいろいろ準備してたりするんですよ、またいずれ、などと言ってその場を辞す。若い人たちの視線が煩わしい。bさんは「すごいっすねー」などと感心している様子なのでまさか本当に知り合いでないとは言えない、無視して、木製の階段を下っていく。
へたくそなバイオリンの音が聞こえてきて、薄暗い踊り場で、自作したかのような安物の生地のチアガール服を着た女子が弾いてた。結構可愛いのだが明日には忘れるだろう印象の薄い可愛さ。彼女もホームレスなのだろうか。あるいは俳優のひとりか。自分たちをみとめると、幾らでも結構です、みたいな目で床に置かれたバイオリンケースに視線を移す。近づくと少し体臭がする。自分は財布を出して持っていた小銭をほとんどケースに入れた。ストリートミュージシャンは嫌いで、こんなことはしたことがなかった。bさんも数百円入れていた。途端に女子の顔がぱっと輝いて、ありがとうございます!お探し物ですか?などと、演奏を止めてまで世話をやいてくれる勢い。人を捜しているんですけど、名前がわからないんです、会えばわかるんですけど、と答えると、暗がりから鉤鼻の小人が顔を出すので、わっ、と驚く自分とbさん。
というところで目が覚めて、浅薄な新宿への幻想に反省し、bさんて誰やねんとツッコミながら、ビデオカメラを修理に出す準備。パンチパーマだがやさしい宅配便の人が取りにきてくれた。
終日うだうだしながら脚本思索。今日の夢は全然使えない。過去の発表していない脚本を読んで、数年前の自分VS今の自分のダイアログ合戦。
昨夜観たいただきものの自主映画DVDがすごい良く、簡単に触発された自分、負けるもんかと思う。