渋谷

谷東急でPFFスカラシップ作品を観る。内藤隆嗣監督『不灯港』。寂れた漁村で漁師をしている独身男の話で、そういえばボーイミーツガールな話だったんだけど、場内大爆笑だった。一人ニヤニヤしながら観ている映画は数あれど、プっと吹き出すのを通り越して笑うという映画はあまりない。ギャグの瞬間最大風速がすごかった。全力で投げっぱなして拾う気なしな小ネタが連続する。PFFといえば何らかの形で映画に関わっているうるさ型の観客が多いはずで、まさかこのように盛りあがるとは思わなかった。逆にいうと、映画を批評的な目で見る観客のツボに入るような笑いなのかも知れないけど。どうしても笑いを取りに行く表現とか中年男の悲哀みたいな演出にしたくなるところを、完全にコントロールして、あえて平板にテンションを低く抑えている。作風がもう完成している感じ。後半、映画としてきちんと作劇しはじめて、非常にしっくりと物語が流れていくところが、なんというか、もったいないなあと思ったのだけど、まとまるのは悪ではないわけで、これは個人的な印象。
PFFの喫煙所はお久しぶりの人々に会う場で、この映画の撮影をやっていたはっしーとかもう何年ぶりかなので、不灯港チームに便乗させてもらって飲みに行く。はっしーから『けものがにげる』と『橘くんのバカ。』の感想を聞いたりした。メガネは伊達ではないそうだ。