世田谷

近況、『兄兄兄妹』の編集を進めていて、各所に叱られて凹んでいるところに、「作品持って遊びにこないか」的なお誘いあり、自宅でDVDが焼けるようになったこともあって、いそいそと最近の短編を焼いてのこのこと遊びに行ったところ、これがある人物の琴線を刺激したらしく、一本撮りませんか的なお話になった。
超能力的なものでコミュニケーションの傷口を確認したり、死んだけど生きていたり、12年前の缶蹴りを続けたり、謎の生物が逃げたりするような妄想映画を得意とする自分に、ド真ん中直球の、ヤンキーの人々が活躍するスポーツものを撮りませんかと振ってくるその人物の度胸というか、面白みというか、要は非常にびっくりしたのでお受けすることにして、それからは、まだあらすじさえ出来ていなかったその映画のあらすじを皆で考え、脚本を半分書き、準備して、今日などはバットでボールを打つなどして実感を深め、鋭意制作進行中なのだから、業界用語でいう「巻きが入っている」、何に?人生に、というこの一ヶ月。
しかし今回のチームは過去の因縁、あるいは、縁が発端となっていることは重要な要素の一つであって、つまり、市川準監督の『トニー滝谷』のメイキング『晴れた家』という作品を撮った時に、その撮影現場で出会った決してメインとは言えないスタッフたちがひょんなことから再び集ってヤンキーを撮ることになっているという、張っておいた伏線を回収したかのような事態になっているのがまた面白みのひとつであると思う。
『兄兄兄妹』はほぼ完成した編集を終えてこれから音をつけていくというところ。先日などは、父の法事で実家に帰省した際、おなかがいたくなったので救急車をチャーターして病院に一泊、体重が異様に減ったことで『空中キャンプ』のジャケットみたいな歩き心地を味わっている。今日、初対面恒例「幾つに見えるでしょーかのコーナー」にて、S賀くんに41才と言われたのは病み上がりのせいだと思いたい。
健康優良不良少年の映画、になるかどうかはこれからの話だけれども、こちらは脚本がようやく固まり来週クランクイン。三月四月は編集上映編集上映の繰り返し。その後は多分暇。