10日夕方に『兄兄兄妹』のうち兄役のH野と兄役のS口、と一緒にシネマテークたかさき行って『晴れた家』観た。いろいろややこしいので関係各位に黙って行った。劇場で作曲家T美氏とも落ち合う。撮影は2003年で公開されたのが2005年だったか、一回完成してPFFで上映させてもらった後、もう一回全体に手を入れて公開したので、相当な時間素材と向き合ったのだけど4年も経つと結構忘れている。特にスクリーンで観る感触はまた別。上映環境はかなり良かった。冷静には観られないはずと思っていたが、タイトルバックにさしかかる所で、監督が自転車に乗って坂道を往復する長いショット、ピアニカの音と(そういえばT美さんと初めて組んだのはこの映画だ)、山本君のモノローグ、それであの時の空気が一瞬で思い出されて、そのまま入り込めた。中盤以降の展開がどうしてあんなことになっているのか、自分がつくったにも関わらずざわつきが持続して、それは久しく感じていなかった感覚(兄兄兄妹にもない)なので、とりあえず体に覚え込ませて帰ってきた。家でDVDを見直そうかと思ったが発見できず。誰かに貸してそのままになっているらしい。返してください。
11日以降、名古屋まで行ったり来たり、都合二往復。実は次の作品は脚本家として参加するもので、その準備でいろんな人に会いまくってきた。監督はサーフィンが趣味とのことで肌色が黒く、自分と並ぶと明らかに白黒のコントラストが可笑しいはずだが誰にも突っ込まれなかった。取材として対象の少年少女たちに話を聞きまくるが意外と疲れない。興味深いからだと思う。しかし内面に触れるような感触を得るまでは至らず。時間が足りないのだと思う。いくつか言葉を書き留めてきた。今までに経験したことのない環境での制作なので、リハーサルや撮影まで参加させてもらってがっつり仕事するつもり。
名古屋ではいろんな人に会ったが、偶然会った(目撃した)人に驚いた。ホテルの一階がスタバだったので、朝コーヒーを買いに降りていったところ、往来を眺めながらコーヒーを飲んでいた人を見てちょっと心臓がドキついた。『晴れた家』、というか『トニー滝谷』の現場を共に過ごしたイッセー尾形さんじゃないですか。前々日に数年ぶりに映画を観たばかり。声かけようかどうしようか迷ったけど、憶えておられるかどうか不安だったので黙ってた。そのまま一日中ドキドキしてもういちど『晴れた家』を反芻した。忘れるな、という天からのアレだろうか。
帰奈川して自宅でプロット3案書き、うち1案に決まった。今日から書き始めるつもりで、まずは大筋練るために家を出る。多摩川越えたところにいい喫茶店があると知ったので行ってみた。意外と静かだったし放っておいてくれる。毎日はちょっと、なので、一日置きくらいに行こうかと思う。

きのう何食べた? (1)
よしなが ふみ
講談社 ( 2007-11-22 )
ISBN: 9784063726480
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