渋谷

イメージフォーラムシネマテーク村上賢司監督『地獄便り』『集団自殺刑事』『川口で生きろよ!』を観る。人の作品で自分の記憶資源を掘り起こされたような感じがして刺激受けること多し。この感覚を忘れてはならない。
ふと思ったのが、最近表に出てくる自主映画監督たちは、個人映画/日記映画の素養がない人が多いのではないかということ。いやもちろんそれがダメであるという意味ではなくて(僕だって素養があるとは言いがたい)、カメラを持った直後から、いきなりチーム編成で「劇」を作るというところから始めているのではないか。脚本や演出のなかで作り手のなまの心情が語られることはあるはずだが、映画を形成するまでのプロセスとして「まず脚本ありき」とか、通り一遍の過程の中で技術を習得していっているのではないかという印象を受ける。一般的な制作過程の中でこぼれ落ちるものを「そういうものだから」と悟ってしまってはいないだろうか。
カメラを持った自分が動き回ることで映画になる、あるいは、映画のために生きる、という、ものすごく簡単だが困難極まりない方法、たぶん一般的には想像できないだろう方法を、こうも軽々と見せられると、僕などは無力感に凹む。何もこぼさないような24時間くらいあるでたらめな映画を撮りたくなる。僕も最初は、ビデオのダラ撮りを編集してドラマにすることから始めた。20年も続けている村上さんの足元にもおよばないけど。
脚本なんか要らない、とか言えないけど、撮りながら考えるとか、撮れたもので考えるとか、困難な方法はたくさんあるけど、映画という箱がぶっこわれないことを信じてやる価値はあるはず。そしたら何をもって映画と呼ぶかということを考える機会も生まれるだろう。
8ミリの作品も観たいのでまた行くと思う。
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川口と正反対の地元に帰って、同居人とお好み焼き、もんじゃなど食べた。10年住んでいるけど初めて入った店だった。