川崎

パスポートができたので取りに行った。最近のパスポートはICチップ内臓だとかで、あの薄さのなかにチップを仕込むとはさすが日本の技術力、などと思って少なからず期待して受け取ったのだけど、普通に厚紙のようなものが挟まれていてその分厚くなり「折り曲げないでください」とあって、一体自分は何に期待していたのか、期待の方向を見失って、そもそも「チップ」とは何なのか知りもしないくせに。97年に作ったパスポートの写真と現在のを見比べると、露骨に老けている自分なのだが、考えていることに進歩があるとは思えない。
ポン・ジュノ監督『母なる証明』を観た。どこでもないのに強烈に印象に刻まれる、繰り返し悪夢に出てくるような町で、それでも人の業のようなものを肯定するドラマにみえた。強度、ってこういう映画に使う言葉なんだろうな。
川崎に行った日しか日記を書かないように見えるのは全くの偶然だが、どこかに出掛けた時に何か起こったり思ったりするのは事実で、エピソードがないと何も書けないというか、書けるんだろうけど困難で、「牛丼食ったらうまかった」などという現実に即した一行に対して、愚にもつかないことを数行書き連ねることの方が頭を使うわけで、要するに面倒なのだけど、頭はできるだけ使った方がいいしいくら絞ってもなくならないことは知っているので、なるべく書いた方が自分のためなのでしょう、川崎に行かなくとも。